日本新で、しかも優勝の快挙!
新聞の記事タイトルで「厚底シューズで日本新」の「厚底シューズ」の部分にフォーカスするのは、頑張った選手がかわいそうだと思ったのは、僕だけじゃないですね(笑)。
それより本当に驚くべきは、2018年に1時間5分07秒でハーフを走ったキプキルイ選手に、1分29秒もの大差をつけて優勝を果たしたことです。
日本記録を更新しながらも優勝じゃないっていう、「陸上あるある」ではないんですよね。そこが気っ風のいい新谷さんらしいです。

2週間前の都道府県対抗女子駅伝の最終9区で、福士加代子選手の持つ区間記録30分52秒に、あと5秒と迫りながら届かなかった新谷選手。
「反省すべき点はいろいろありますが、(区間記録を更新できなかったことよりもむしろ)みんなが頑張ってつないでくれたタスキですから、タクシーを呼ぶべきでした。何としてでも勝ちたかった」などと新谷節が炸裂してました(笑)。
17番目のタイムでもメダルが獲れる?
さすが世界を見据える新谷、と安心してはいられません。
2019年だけで、ハーフで新谷選手の記録より上の記録を出した選手は、なんと16人。そのほとんどがアフリカ勢です。
2019年の厚底シューズ第3世代を履いて出された最高の記録は、ケニアのブリジッド・コスゲイ選手で、1時間5分28秒でした。
今回の新谷選手よりさらに70秒上です。驚きの記録ですね。
しかしそこはご安心を。このコスゲイ選手、実は女子フルマラソンの世界記録保持者でもあるんです。
タイムは2時間14分04秒。ほぼ確実に、コスゲイ選手は東京五輪でフルマラソンにエントリーするでしょう。
それでもまだハーフでは世界に15人のライバルがいます。いえ、それでも僕は、新谷選手はメダルが狙えると思ってるんです。
だって、2019年のハーフのベストタイムを出したコスゲイ選手より、今回新谷選手に1分29秒の大差で敗れたキプキルイ選手の2018年のタイムの方が21秒も上ですから。
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- 開始タグ
- (持ちタイム)2018年のキプキルイ選手>2019年のコスゲイ選手>2019年の他の15人のライバル >2020年の新谷選手(日本新)
- (リアルタイムの強さ)新谷選手>キプキルイ選手>コスゲイ選手>他の15人のライバル
上のような図式が成り立ちます。
ライバル15人全員を抜き去って、新谷選手が「金」なんていうことも充分考えられます。15人の中にはフルで走りそうな選手が他にも数人いますから。
前半から速度の上げ下げでガンガンしかけていくアフリカ勢に対し、新谷選手の持ち味は、一定の速度で最後まで走りきれるところ。
しかし近年の駅伝では、新谷選手も最初から飛ばしていく姿が見られます。
もともとアフリカ勢の揺さぶりに敗れて引退した時も、途中までは首位を走っていた新谷選手ですから、今回の現役復帰は「勝つため」「勝機あり」と見たからだと思います。
東京五輪10000mでの駆け引きも大注目ですね。

高校時代のタイムはあの廣中選手より上?
さて思い出すのは、高2の新谷選手。全国高校女子駅伝1区の記録を塗り替えましたね。
今もYouTubeなどで、頭の上下動が全くなく、すり足のような走りで足首を利かせて走る姿を見て、当時からヴェイパーフライに最適な走り方だったと思うのは僕だけでしょうか。
山梨学院の留学生ペレスに競り勝つ姿は、東京五輪の予告を観てるようです。
というか、留学生に競り勝つ日本人なんて、男女通じて観たことありますか?
この高2の記録は、翌年にまた新谷選手自身が塗り替えました。
3年での18分52秒は、あの区間賞しか獲ったことがない廣中璃梨佳選手でさえも3年で19分01秒までしか出せなかったエース区間(6km)ですから、新谷選手の傑出ぶりがわかります。
今では留学生が走るのは禁止になったようですが、全5区で約22kmのうちの一番長い6kmですから、大切な区間ですね。
その新谷選手、発言もユニークです。
「世界陸上は婚活が理由で出ました。テレビに顔が映るように、2位で走っていた時は1位の選手の横に少しずれて走っていました」、「金メダルより彼氏が欲しい」 、「(駅伝アンカーで1位になれなかった)反省点はいろいろあるんですが、タクシーに乗らなかった点ですかね」。
さて何かやってくれそうな豪快姐さん、新谷仁美選手。
その性格の面からも、福士加代子選手の後継者ですね。今回は新谷仁美選手がなぜ東京五輪でメダルを狙えるのかを書いてみました。それではまたお逢いしましょう。
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