先発投手にとって危険な回は、初回と打者3巡目。
先発投手が失点する危険な回は、まず上位打線が来る初回です。
長く投げる先発は、初回からあまり全力投球したがらない影響もありますが、メジャーでは近年、1番と2番に強打者を置くチームが増えているせいもあります。
イニング別に見ても初回が最も失点の多いイニングです。
もう1つの失点が多い危険な回は、打者3巡目。
もともと先発投手は長いイニングを投げるせいもありますが、球種が豊富です。
その球種も、2巡目までには一通り見せてしまっています。打者はタイミングを掴み、球筋にも目が慣れてくるのが3巡目なのです。
オープナー制度とは、この先発投手が不利になる両方の回を、セットアッパーやクローザーに投げてもらおうという制度です。
これを実践しているのが、メジャーのタンパベイ・レイズとNPBの日本ハムファイターズです。
レイズと日ハムのオープナーの違い。
レイズでは先発3本柱が投げられない谷間の試合で、クローザーのロモが2試合連続で1イニングずつ投げ、いずれも無失点。
ロモはクローザーとオープナーの両刀で活躍しました。
日ハムでは、楽天3連戦でまずエース・有原航平が投げて勝ち、残りの2試合では堀瑞輝が2回無失点、7日は加藤貴之が2回無失点、以上で3連勝。
ソフトバンク戦でも有原航平が投げて勝ち、残り2試合で堀が3回無失点、杉浦稔大が4回2失点で3連勝。継投策が功を奏しています。
俯瞰してみれば、この制度を導入して、レイズが導入以降の防御率が30チームでNo,1です。
日ハムも(守備力を考慮せずに)投手力を純粋に評価するFIPという数字では、パリーグNo.1なのです。
パリーグで言えば、日ハム以外の5球団は先発がQS(6イニング以上を投げて3失点以内、先発の評価の指標)で勝利する勝ち方で戦うため、先発の質が勝敗に大きく影響してきます。
QS率を見れば、5球団が42~45%と拮抗しているのに対し、日ハムだけが25.6%と別世界です。
これは言い換えれば、先発に頼らない戦い方をしているとも言えます。
ただこの両チーム、レイズがポストシーズンまで戦えたのに対し、日ハムはリーグ5位と低迷。
打線や守備力にも課題がありましたが、先発の柱のコマ不足もあります。
日ハムの場合、オープナーの後に投げる投手も短いイニングが多く、短期決戦のような戦い方をしています。
この2~3イニングずつ継投していくやり方を「ブルペンデー」と呼びます。
これは理に適っているのです。
FIPという数字は、被本塁打、与四死球、奪三振に注目するもので、そこにはイニング数は考慮されません。
そのため、長いイニングを投げる先発投手よりも、リリーフ陣に有利な数字だと言えます。
つまりFIPを指標にして継投するならば、リリーフ陣を次々に出して9イニングをカバーすれば、安定します。
栗山監督が選手に謝りながら継投しているらしいですが、問題は選手のモチベーションでしょう。
ブルペンの負担は大きく、いかに涼しい札幌といえど、夏場を乗り切るのは大変だと思われます。
モチベーション維持のため、ブリードというポイントを提案したい。
オープナーは、クローザーに対する反意語だと思うのですが、クローザーの仕事にだけセーブポイントを付与していくのは不公平だと言えます。
「save」が「助ける」の意味なのに対し、初回や2回を抑えることで増えるポイントを「breed」、ブリードとしたらどうでしょうか?
これは「しつける」という意味。
つまり相手上位打線を沈黙させ、試合の主導権を握りやすくするという意味が込められています。
NPBが作らないなら、日ハムが独自で評価方法として設定すれば、モチベーションは維持されると思うのです。2イニング以内を2点以内で切り抜けたら、1ブリードとか。
今回は斬新なオープナー制度について、考えてみました。ちなみにセリーグのDeNAもこのオープナーを導入しているようです。
DeNAと言えば、ドラフト上手で先発の柱がしっかりしている印象でしたが、QS率は37.06%。これはオープナー制度の影響だと思います。
DeNAは昨年、リーグ2位の好成績を収めました。日ハムよりDeNAの方がレイズに似ているかもしれませんね。
最下位のヤクルトもQS率は同じ数字ですが、こちらは従来型の先発がQSに失敗しての数字のようです。ヤクルトも試してみる価値はありますね。それではまたお逢いしましょう。
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